Excelによる船舶の新しい燃費解析手法をご紹介します。

燃費解析ソフト ( Fleet Performance Analizer )

1 .解析に必要とするデータはExcelファイル
海洋におけるインターネット通信による船陸間での情報共有、あるいは、E-Mail方式による本船運航データの陸上オフィスへの 電送等により本船運航データは陸上でリアルタイムに把握できる環境が整いつつあります。
本稿にてご紹介する燃費解析ソフトは既に陸上のデータベースサーバー等に蓄えられている運航データをExcelシートに ダウンロードし、そのデータを基に燃費解析を行う手法です。(勿論、本船からの運航データを始めからExcelシートに読み込んでいても 構いません。要は、Excelシートをデータベーステーブルとして使えるようになっていれば解析が可能となります。)
燃費解析に必要なデータ項目は以下の通りです。
  Ship Name: 船名
  Date: 日付(yyyy/mm/dd)
  Voyage No. 航海番号
  Leg: 貨物積載=L:Laden、空船航海=B:Ballast の別
  Wind Force: 風力 (Beaufort No.を使用)
  Swell: 波高 (m)
  Hours Under Way: 航海時間(Hrs)
  Hours Under Propelling: 航進時間(Hrs)
  Distance(O.G.): 対地航進距離(sea mile)、O.G.=Over Ground
  Velocity(O.G.): 対地速力 (knots)
  Distance(Log): 対水航進距離(sea mile)
  Velocity(Log): 対水速力(knots)
  FOC(M/E):燃料消費量=Main EngineのFuel Oil Consumption(t/day)
  FOC(M/E24H): 24時間当たりのFOC(t/day)
  Displacement: 排水量(t)
  Last Dock Date: 前回出渠日(yyyy/mm/dd)
ここでの燃費解析は海象・気象等の外乱を出来るだけ排除して実海域でのPerformance Curve(速力・燃費曲線)を求め、最終的には標準的な排水量、速力で航走した場合に燃費が時系列にどのように変化していくかを求めるものです。
換言すれば、船体抵抗の太宗を占める船体摩擦抵抗の変化により燃費性能が前回出渠以降どのように変化するかを求めます。
(注)解析に必要とするExcelシートの書式
燃費解析ソフトにて解析できるExcelシートの書式を具体的にご説明します。
基本的に「Excel シートをデータベーステーブルとして使えるようになっていれば解析は可能」とすでにご説明していますが、要は1行単位でレコードが成り立ち、且つ1列単位で船名、Date等のデータ入力ができるようになっていれば解析が可能ということです。
昔から海運業界で伝統的に使われてきた「ABSTRACT LOG」フォームは必ずしも1行でデータが完結していないためデータベーステーブルとしては使用できませんのでご注意ください。
当事務所で使用しているデータシートの書式は以下の通りです。
例えば、B列のDate入力欄には日付データが”B9"以下に登録され、データ最下段行まで連続してデータが入力されることが必要です。
データ欄には全ての列にデータを入力することが望まれますが、特にA列からC列まではデータ最下段行までのすべての行にデータが入力されていなければエラーとなるようにしています。
燃費解析は最小限、背景が黄色のセルに入力されていれば可能です。





2. 燃費解析手法の概要