船舶の新しい燃費解析手法をご紹介いたします。

燃費解析ソフト ( Fleet Performance Analizer )

6..解析結果の具体例4 (PCTC1)
燃費のトレンド曲線を日々のデータを使って求めてみました。
下図は前回ドックから5年半前のドック以降2年間のヌーンレポートから抽出した日々データ(期間1データ)を散布図に纏めたものです。 本船の場合も多少の減速航海データがあることから実海域データを使って回帰曲線を描いてみました。 比較対照としてデータの中央値を通る3乗曲線を追加してみましたが、おおむね回帰曲線に重なりましたので以下の解析には3乗曲線を使うことといたしました。


下図は同じく期間1データ(紺の散布図)とデータの中央値を通る3乗曲線に、前回ドック以降1年間のデータ(黄緑の散布図)を重ね合わせ、上図の場合と同様に3乗曲線を使ってPerformance Curve(赤の太線)を追加で描いています。
本船は前回ドックの際に船底表面粗度を改善するため船底全面ブラストを実施しています。
2期間のPerformance Curveを比較すると、前回ドック以降の1年間の方が平均で燃費が7.3%改善されました。

更に、燃費のトレンドグラフにても同様の燃費比較を行いました。
下図は速力と排水量を一定(上の図と同一排水量)にして期間1の日々の燃費推移(紺の曲線)と前回ドック以降の1年間の日々の燃費推移(赤の曲線)を重ね合わせたものです。
2期間の燃費を比較すると、前回ドック以降の方が燃費は上の場合と同様に7.4%改善されています。
この結果は船底全面にブラストを実施すると低燃費塗料の摩擦抵抗低減効果と相まって5.5年以上前の状態に戻ったことを意味しています。船体の若返りには船底表面の劣化度合いにもよりますが、船底全面ブラストが極めて有効であることを示しています。
Performance Curveの比較による燃費性能の評価と燃費の時系列変化による燃費性能の評価がほとんど一致したということは本手法による燃費性能の時系列推移を評価する手法が合理的であることを証明しています。
この新しい燃費解析手法については東大の新領域創成科学研究科の稗方和夫准教授から貴重なアドバイスをいただき解析手法についても高く評価していただきました。



燃費解析ソフト・トップ